実家を断捨離していると、昔のお金やら記念硬貨やらが色々と出てきました。こういうのってどれぐらいの価値があるんですか?また、転売するとなると古物商許可証は必要ですか?
実は古銭は原則として古物13区分のいずれにも該当しません。古銭や貨幣セットなどは実際に使うのではなく、あくまでコレクション用として保存・保管しておくものだと思いますが、これらコレクション用として購入したものを販売する場合は古物商許可証は不要です。
では、例外はあるのですか?
その古銭に美術的価値があると認められた場合のみ、古物商許可証が必要となります。その場合、区分は「美術品類」となります。しかし、現実的に言えば美術的価値があると認められる古銭はほとんど存在しません。それ故、基本的に古銭の買取や販売・転売に関して古物商許可証は不要であるとお考え下さい。ただし、管轄の警察署によっては古銭も「道具類」として扱われる場合もあります。業として本格的に古銭やアンティークコインの取引を反復継続して行おうとする場合は、やはり古物商許可証を取得しておいたほうが良いでしょう。
参考:古物13区分一覧表
区分 | プレート表示 | 物品例 |
美術品類 | 美術品商 | 絵画、書、骨董品、登録日本刀など |
衣類 | 衣類商 | 婦人服、紳士服、子供服、着物など |
時計・宝飾品類 | 時計・宝飾品商 | 腕時計、貴金属類、宝石類、指輪・ネックレスなど |
自動車 | 自動車商 | 自動車、タイヤ、カーナビなどの部品 |
自動二輪車および原動機付自転車 | オートバイ商 | オートバイ、現付自転車及びその部品 |
自転車類 | 自転車商 | 自転車及びその部品 |
写真機類 | 写真機商 | カメラ、レンズ、ビデオカメラなど |
事務機器類 | 事務機器商 | パソコン、FAX、プリンタなど周辺機器など |
機械工具類 | 機械工具商 | 電動工具、工作機械、家庭用ゲーム機、家電など |
道具類 | 道具商 | スポーツ用品、楽器、CD/DVD、ゲームソフトなど |
皮革・ゴム製品類 | 皮革・ゴム製品商 | ブランドバッグ、靴など |
書籍 | 書籍商 | まんが、実用書、写真集など |
金券類 | チケット商 | 商品券、ビール券、株主優待券など |
古物営業法施行規則第2条より
古銭なのに古物に該当しないのは意外な感じがしますね。
ただ、取っておいて損はないと思うんですよね。例えば、エンドユーザー向けに古銭カタログなどの書籍を販売したり、コインのアルバムやケースを仕入れて販売したり、あるいはコイン単品を保管するためのコインホルダーを転売するとなると古物商許可証は必要となります。「古銭だけを扱うから古物商許可証はいらない!」といっても、案外古銭関連の付属品も多数ありますので、やはり古物商許可証は取っておいて損はないと思います。実は昔の古銭アルバムは現在絶版になっているケースが多く、そういったアルバム本体だけがほしいという人も結構います。
どこにニーズが隠れているかわかりませんね!
それと、外国銭に関してもそれなりに値が付く場合もありますよ。ただ、古銭全体でみると日本の古銭>外国の古銭といった感じのパワーバランスになります。外国銭よりも日本の古銭の方が高値で取引されます。
最近流行りの「アンティークコイン投資」をする際も古物商許可証は必要ですか?
自分がやりたいことは投資活動なのか、それとも古物営業なのか。それによって古物商許可証の必要性の有無が異なります。
アンティークコイン投資はビジネスではなく投資活動であり、基本的には長期間寝かせておいて、その値上がり益を得ることが目的なので、自分自身でそのコインをずっと持っている分には古物商許可証は必要ありません。ただし、例えばネット上でそのアンティークコインを販売するなど古物営業を行う場合は古物商許可証が必要となります。
古銭の鑑定のポイント
古銭の鑑定のポイントなどあれば教えてください!
銀貨は価値があります。
銭単位の古銭の場合、膨大な種類の貨幣がありますが、その中である程度価値のあるものはやはり銀貨ではないでしょうか。銀貨であれば1枚単位であっても値が付くことが多いのですが、逆に言うと、銀以外の素材(銅、ニッケル、アルミなど)のものは値が付きにくい傾向にあります。
状態に注意!
「古銭」というだけあって、古いものが殆どです。特に紙幣の場合はピン札かそうでないかで価値が大きく異なります。
国内と海外の価格差がある場合があります。
貨幣セットは国内ではほとんどの場合額面通りの価値にしかならないことが多いのですが、プルーフセットや限定の貨幣セットの一部など、海外のコレクターから人気があるものもあります。
「特年」を必ず確認して下さい。
例えば昭和35年の50円硬貨など、発行枚数が少ない年の硬貨は価値が高いです。ミントセットにしか含まれなかった硬貨も複数存在します。
貨幣の全国規模のイベントもあります
「東京国際コインコンベンション」というイベントが毎年5月ごろに開催されます。全国の貨幣商が一堂に会する催しで、日本だけでなく海外からもバイヤーやコレクターが集まります。いろいろな種類の現物に触れることができるという点においては、非常に勉強になります。
古銭の鑑定書発行機関
家から価値のありそうな古銭が出てきた…でもちょっとよくわからないし、価値のあるものであれば「鑑定書」をつけて出品したいし、どうしたらいいですか?
「日本貨幣商協同組合」は、古銭の鑑定書を発行してくれます。お近くの組合加盟店に相談するといいですよ。
商品を持ち込んで、鑑定書が発行されるまでにどれぐらいの期間が掛かりますか?
大体2週間から2か月ぐらいといわれています。一度お預かりした商品は、鑑定期間中は手元に戻ってきません。鑑定が終了し、鑑定書とともに商品が戻ってきます。
鑑定料はおいくらですか?
以下にまとめましたのでご参照ください。基本的には鑑定品の価格(時価)により変動します。
鑑定品の価格(時価) | 鑑定料(税別) |
100,000円未満 | 5,000円 |
100,000円以上 500,000円未満 | 10,000円 |
500,000円以上 1,000,000円未満 | 15,000円 |
1,000,000円以上 2,000,000円未満 | 30,000円 |
2,000,000円以上 5,000,000円未満 | 50,000円 |
5,000,000円以上 10,000,000円未満 | 100,000円 |
10,000,000円以上 | 150,000円 |
鑑定書を発行出来ない貨幣の一例
- 日本で発行されていない貨幣(外国貨幣など)
- 現在の法定通貨として通用している貨幣(現行貨幣)<例:記念コイン、通常の流通貨幣、廃貨になっていない昔のお金など>
- 現状の状態が著しく劣化している貨幣や、加工してあるもの
- 修正品など
古銭の鑑定のポイントまとめ
- 古銭の材質や状態に注意してください。
- 特年の貨幣は要注意ポイントです。
- 世界中にコインコレクターが存在し、ものによっては国内相場よりも高くなる商品もあります。
オリンピック記念硬貨セット
オリンピックが行われた際には世界各国で記念硬貨セットが多数発行されました。中には、金や銀などメダルの色に合わせて材質を揃えた記念硬貨セットも存在します。やはりコレクターとしては「金メダル」がほしいところですが、高騰する金相場も相まって、金メダル自体の相場も高騰しているところです。とはいえ、発行枚数はかなり多い為、プレミアの価値はそれほどついていない印象です。
また、前回の東京オリンピックが開催された1964年は、相当枚数の100円銀貨・1000円銀貨が発行されました。これらについてもプレミアの価値はほとんど付きませんが、銀貨であるため、銀の価値が評価されて額面以上の金額で取引されます。
貨幣セット
造幣局から発行される「貨幣セット」。1円から500円までの666円分をケースに個装し、毎年販売されています。世界的にもコレクターが存在します。この貨幣セットについては、鏡面仕上げをした「プルーフセット」と通常貨幣の「ミントセット」の2種類あります。また、50円玉や1円玉など一般的に流通しなかった「特年」と呼ばれる年もあります。例えば昭和62年は50円玉が一般流通しませんでした。しかし、貨幣セットのためだけに50円玉が製造されました。つまり、昭和62年の50円玉は貨幣セットの中でしか存在しないことになります。このような特年の貨幣セットは通常よりも高値で取引されます。また、海外のコレクターは特にプルーフセットを好む傾向があり、昭和62年のプルーフ貨幣セットは特に高値で取引されます。
江戸時代の古銭
江戸時代の古銭は確かに古いですが、いわゆる穴銭であれば実は流通量が多く、結構残存しています。ただし、小判や大判になると大きく価値が上がります。江戸時代から令和の時代に至るまで現存する貨幣に、時代の生き証人のようなロマンを感じる人も多いのではないでしょうか。
外国銭
日本国内において、外国銭は決して高値で取引されるものではありませんが、ごく一部の外国銭にはプレミアの価値がつくものもあります。