結局、マンションの使用承諾書は必要なの?

賃貸マンションの一室を主たる営業所として登録する場合、マンション管理人からの使用承諾書は必要ですか?

2020年4月より法改正がありまして、使用承諾書は必須書類ではなくなりました。ただし、あらかじめマンション管理人より使用許可を取っておくとベストです。
マンション管理人の立場からすると、例えばマンションの敷地内に無断で看板を設置したり、不特定多数の人がマンション敷地内をウロウロしたりすると迷惑なので、そのようなことさえ起きなければ基本的に問題ないはずです。
しかし、管轄の警察署の古物担当の方によっては未だに使用承諾書を必須としている場合もあります。こちらとしては当然のように「2020年4月より法改正があったのはご存知ですよね?」と聞きますが、それでも頑なに使用承諾書の提出を求められる場合がたまにあります。その場合は「仕方なく」使用承諾書を提出するより他ありません。私がわざわざ「仕方なく」と書いたのは、上記の通り2020年4月より法改正があったため、使用承諾書は本来提出書類としては不要であるはずだからです。

そんな担当にあたったら嫌ですね~

私も嫌ですよ。弊所にご依頼される方のために私もいろいろ策を練りますが、最後は人対人なので、如何ともしがたいところがあります。もしどうしてもマンション管理人の使用承諾書が必要になった場合、一度ご相談ください。直接交渉はできませんが、策はあります。

ちなみに賃貸ではなく所有物件である場合はどうですか?

所有物件の場合は賃貸よりもハードルが低いです。ほぼ間違いなく取得できるはずです。ただ、いずれにしても他のマンション住民やマンションの建物・敷地に対して迷惑をかけないことは前提条件となることを必ず忘れないようにしてください。
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お中元・お歳暮セール転売

お歳暮やお中元の季節が少し過ぎるとディスカウントして販売するイベントがたまに百貨店でやっているじゃないですか。あのイベントで購入した商品を転売する場合は古物商許可証は必要ですか?

食品は古物に該当しない為、それらを転売する場合においては古物商許可証は必要としません。ただし、注意点があります。
お酒を転売・販売する際は酒販免許が必要
よくありがちなのが発泡酒の詰め合わせセットなどをインターネットで転売・販売する、というケースですがこれは全然ダメです。

なぜダメなのですか?

お酒は古物ではないので、買い取る分には何ら問題はありません。ただし、それを転売・販売するとなると必ず「酒販免許」が必要です。それがなければ転売・販売することはできません。
また、インターネットで販売する場合は酒販免許のうち「通信販売酒類小売業免許」が必要となりますが、この通信販売酒類小売業免許で販売できるお酒は西洋酒と品目ごとの年間課税移出数量がすべて3000kl未満である製造者が製造・販売する国産酒に限られます。つまり大手メーカーのビールや発泡酒などは取扱いはできず、地酒や地ビールなどの生産量の少ない国産酒に限られます。
ですので、「発泡酒の詰め合わせセットなどをインターネットで転売・販売する」というのは二重の意味でNGなのです。
実はみりんもお酒の仲間

わかりました。あら、みりん♪みりんの詰め合わせが安いから、これを転売でもしようかしら。

あ、ちょっと待ってください。実はみりんもお酒の仲間なので酒販免許がなければ転売・販売はできませんよ。

ひやぁ~みりんもお酒なんですか?どう見ても調味料にしか見えないんですけど~~

確かにみりんは調味料に使われるのですが、飲用に用いられるアルコール飲料のひとつにも該当し、カテゴリとしては「混成酒」に分類されるんです。みりんをゴクゴク飲んでいる人は見たことがないのですが、分類上は一応お酒ということになっています。下の表は酒類の販売数量等報告書なのですが、その区分の中にも「みりん」があります。

ですので、いくら安売りしているからといって、酒販免許がないのに安易に「本みりん」とか転売しちゃだめですよ。

は~い。

ちなみに「本みりん」はアルコールが14%ほど含まれているのですが、「みりん風調味料」であればアルコールは1%未満であるので酒税の対象とならないため、酒販免許がなくても転売OKです。
参考サイト:酒販免許の広場
本人確認方法について

買取を行う際、本人確認は必ず行いましょう。ここでは、本人確認方法についてお伝えします。
有効な本人確認書類
- 運転免許証
- 健康保険証→記号・番号を控えることはできません。
- パスポート

日本人の場合、パスポートをいつも持ち歩いている人は少ないと思いますので、有効な本人確認書類としては運転免許証か保険証ということになります。

マイナンバーカードは…

かつては「住基カード」だったのですが、これらはマイナンバーカードに取って代わられました。で、このマイナンバーカードですが、本人確認書類としては有効ではありません。

なぜですか?

マイナンバーは社会保障、税、災害対策の3分野について、分野横断的な共通の番号を導入することで、個人の特定を確実かつ迅速に行うことを目的としています。つまり、その人にとっては非常に秘匿性の高い情報となります。このマイナンバーカードを本人確認書類としてリユース事業者が使用すると、情報漏洩の危険性があるため、情報セキュリティの面において本人確認書類としてはふさわしくないのです。
本人確認書類受領後

本人確認書類の番号を控えてください。その際、例えば本人確認書類の有効期限が切れていたり、顔写真と本人の実物の顔が著しく違っていたりしていないか確認して下さい。

「個人情報を知られたくない!」といって本人確認書類の提示を拒否する人もいるのですが、どうしたらいいですか?

なぜ本人確認書類を提示する必要があるのか、何のためにそうするのかを説明してあげてください。やはり古物営業法という法律に則ってビジネスをする以上、本人確認は古物商の義務であるので、そこは妥協するわけにはいきません。

それでも頑なに本人確認書類の提示を拒む人はどうしたらいいですか?

取引を断念せざるを得ないでしょう。「今回だけは…」みたいな感じで本人確認を怠ってはいけません。これに関しては一切の例外なく、毅然とした態度で臨み、それでも客が応じないのであれば取引を断念・中止しなければなりません。
多くの人はこちら側が丁寧に説明することにより、本人確認書類の提示に応じてくれます。逆に、応じてくれない人は何らかの瑕疵というか、実は持ち込んだ商品が盗品だったり、偽物だったりすることが多々あります。本人確認を正しく行うことは、そういった不正品・不真正品の買取や取引を未然に防ぐ効果もあるのです。
買取り申込書に記入してもらう

依頼人の氏名や住所、職業、電話番号、生年月日を書いてもらいます。この情報に関しては依頼人でしか知り得ない固有の情報なので、成約後に必ず記入してもらう必要があります。

このタイミングでも、やはり個人情報を気にして記入を渋る人がいるんですよね~

確かに個人情報を気にする人は多いですが、あくまで古物取引の為だけに使用するのであり、それ以外の用途には一切使用しない旨を説明するべきでしょう。おそらく恐れているのは、取引をしたことにより、後日営業電話がかかってきたりしないかどうか、という点だと思います。まっとうな古物商であればそのようなことはしないので、そこは丁寧に説明する必要がありますね。それを書いてもらえなければ、やはり取引は不成立ということになります。
注意点として、見た目が若く「この人はもしかして未成年か?」と思ったら必ず生年月日を確認しましょう。もし未成年であった場合、保護者からの同意書があった方がいいかと思います。

なぜですか?

民法上、未成年者は法定代理人(多くは親)の同意を得ないで行った取引を取り消すことができるとされており、後になってトラブルにつながることが多いのです。考えられるのは、「親のネックレスを子が勝手に売った」といったパターンです。これは子と親と古物商の三者間トラブルになる可能性があります。ですので、未成年者からは買い取らない、あるいは親の同意書を必須条件として買い取る必要があります。
また、「年齢を知られたくないのよね~」といって生年月日の記入欄だけ空白で提出する依頼人もたまにいるのですが、ちゃんと事情を説明して記入してもらうようにしましょう。
本人確認が必ず必要な商材

買取にあたって本人確認が必要とされているのは、1万円以上の取引の場合です。つまり1万円未満の場合には原則として本人確認は不要です。ですが、以下の商材は取引金額が少なくても盗品のおそれが高いとして1万円未満でも本人確認が必要となります。
- ゲームソフト
- 自動二輪(部品含む)
- 原動付き自動車(部品含む)
- 本
- CD、DVD

このほか、注意すべき買取依頼人に関してはこちらの記事をご覧ください。いずれにしても、本人確認は古物商の義務です。必ず・もれなく・妥協無く行うようにしてください。
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肥料の転売・出品・販売は届出が必要です!

先日、「余った園芸用肥料」をフリマアプリに無届で出品・販売したとして、全国の男女7名が書類送検されたそうです。

これは正直、全く知りませんでした。。

フリマアプリや、そういった販売プラットフォームによって出品基準がバラバラですが、今回の件は「肥料取締法」という法律に抵触した為、アウトということになりました。

これからアウトドアシーズンだし、園芸用の肥料が余ることは十分に考えられるし、余ったものを転売・販売することは何となく自然な流れのような気がするんですけどね~

ただ、園芸用の肥料もある意味「生もの」のようなもので、品質管理や鮮度管理をした上で販売をしなければ、農作物などに影響が出てしまう可能性があるのです。例えばフリマアプリで購入した「余り物の園芸用肥料」を使ったら農作物がダメになった、なんてことになったら大変ですからね。気をつけましょう!
他にも、出品が禁止されている商品などは必ず販売プラットフォームに「出品禁止物」の記載があるので、「これ、出品しても大丈夫かな?」と迷ったり、「もしかしたらNGなんじゃないか…」という疑いがある場合は、出品する前に必ず確認しましょう。

「他の人が出品しているから自分も」という考えは危険ですよ~
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テスト転売は著作権法違反です。

先日、学習塾のテストをインターネット上で転売した夫婦が著作権法違反の疑いで書類送検されたそうです。先日の野球観戦チケットの不正転売といい、なにかと「転売」絡みで逮捕・書類送検の事案が増えているような気がします。今回のテストに関しては古物とは関係ありませんが(厳密に言えば「書籍」に該当する古物なのかもしれませんが)、著作権を侵害したという点において問題となっています。普通に考えれば、自分で作ったわけでもない「テスト」を他人に転売するのは、違法行為であるということになぜ気が付かなかったのかと思ってしまいます。
例えば参考書などの書籍は市販されていますから、これらを転売する分には著作権の問題はありません。ただし、塾で配布されるテストなどの配布物は、その塾のオリジナルの「作品」のようなものなので、それを無断に転売されると、もしかしたらライバルの塾関係者の手に渡ってしまう可能性もあり、そうなると元々そのテストを作成した塾にとっては不利益になります。同じような事例・似たような事例は他にも考えられます。是非とも、著作物・著作権に関しては十分気をつけてください。
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盗品が持ち込まれたら…?

先日、リサイクルショップに盗品の電動工具を持ち込んで転売して逮捕された者がいました。ポイントは2つあります。1つは、持ち込まれたものが「盗品」であったこと、もう一つは転売目的で持ち込んだにもかかわらず古物商許可証を所有していなかった(であろう)ということです。一般的に、電動工具は盗品が多い傾向にあります。買い取る側も頭の片隅に置いておいた方がいいでしょう。

買い取る側としたら、どうすればいいですか?買い取る前はこれが盗品かどうかはわからないじゃないですか。後になって盗品であることが発覚した場合、買い取った側の責任はどうなるのですか?

盗品と知らずに買い取った場合は特に処罰されません。しかし、盗品であることを知りながら買い取った場合は「盗品等関与罪」として処罰される可能性があります。

具体的にはどんなことに気をつければいいですか?

まず、警察からの品触れを受取日から6か月間保管します。バックヤードの見えやすい位置に貼っておくといいでしょう。その品触れに該当する商品を持ち込まれた場合は直ちに通報してください。
電動工具の場合、商品に「○○工業」といった社名をマジックで書いてあるケースがあります。本当に不要になったものを買取店に売却に行く場合は同じ社名のものを持ち込まれますが、盗品の場合、異なる社名のものが混ざっていたりします。そうなると、ちょっと疑った方がいいかもしれませんね。「これ、社名が違うみたいなのですが…」みたいな感じで軽く聞いてみて、買取依頼人のリアクションをよく観察してください。
そもそもなぜ電動工具に盗品が多いかというと、事業者のセキュリティが甘い場合が多いです。現場に放置されていたり、誰ですぐに手が届くようなところに置いてあると、電動工具でなくても盗難に遭ってしまいます。ですので事業者においてもセキュリティ面を見直して、電動工具を大切に扱うようにしてください。これは電動工具に限らず全てのもの・全ての事業者に言えることです。コロナ禍により盗品の持ち込みが増える可能性がありますので、買取業者におかれましても十分ご注意いただきたいところです。
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古物商許可証の申請・取得にまつわる一問一答集

古物商許可証の申請はどこで行えばいいのですか?

古物営業を行う営業所の住所の管轄警察署です。自宅の近くとか、会社の近くとか、近くの交番とか、警察署であればどこでもいいわけではありませんのでご注意ください。

どのタイミングで行けばいいですか?

平日の9:00~16:30ぐらいです。警察署によりけりです。土日祝は原則休みです。申請する際はアポなしでいきなり行くよりかは、念のためアポを取った上で行くと確実です。

今コロナであれなので、申請書類を郵送してもいいですか?

郵送では受け付けてもらえません。ただ単に申請して終わり、ではなく、古物営業に関する注意点や質問などを警察官からされるので、やはり直接警察署に出向く必要はあります。郵送で受け付けてくれたらこちらとしても正直とても楽なのですがね。そうはいきません。

なんとなく、警察署に行くのは気が重いなぁ~

最近の警察署はそれなりに対応はいいですよ。まず受付に行って「古物商の件で。。」といえば、「生活安全課はあちらです」みたいな感じで案内されます。大体の場合、古物商の担当部署は生活安全課であることが多いですよ。

申請して許可が下りるまでどれぐらい時間が掛かりますか?

標準処理期間は40日です。申請してすぐに許可が下りるわけではありません。結構時間が掛かります。例えば古物商許可証の申請と会社設立を同時に行う場合、先に古物商許可証の申請を済ませた方がいいでしょう。

ちなみに古物商許可証って、有効期限とか更新期間はありますか?

ありません!古物商許可証は一度取得したら一生涯有効のライセンスです。ただし、住所が変わったり取扱い区分の変更があった場合はその都度変更申請をする必要があります。また、いくら一生涯有効とは言え、古物営業を6か月以上やらなければ取り消されてしまう場合があります。また、自分の意思で古物営業をやめる場合は古物商許可証を自主返納しなければなりません。辞めた後も記念に取っておく、というわけにもいかないのです。

今のところ仕入れは特定の人からだけなのですが、それでも古物商許可証は必要ですか?

必要です。特定の人や企業からのみ古物の買取をする場合であっても古物商許可証は必要となりますのでご注意ください。

わかりました。これであたしにも古物商許可証が取れそうな気が…!

その他古物商許可証の申請・取得に関するご質問があればお気軽にお申し付けください!電話・メールだけでなく、skypeやzoomでの面談も対応致します。
第三条の規定による許可を受けようとする者は、その主たる営業所又は古物市場の所在地を管轄する公安委員会に、次に掲げる事項を記載した許可申請書を提出しなければならない。この場合において、許可申請書には、国家公安委員会規則で定める書類を添付しなければならない。
古物営業法 第五条(許可の手続及び許可証)
氏名又は名称及び住所又は居所並びに法人にあつては、その代表者の氏名
主たる営業所又は古物市場その他の営業所又は古物市場の名称及び所在地
営業所又は古物市場ごとに取り扱おうとする古物に係る国家公安委員会規則で定める区分
第十三条第一項の管理者の氏名及び住所
第二条第二項第一号に掲げる営業を営もうとする者にあつては、行商(仮設店舗(営業所以外の場所に仮に設けられる店舗であつて、容易に移転することができるものをいう。以下同じ。)を出すことを含む。以下同じ。)をしようとする者であるかどうかの別
第二条第二項第一号に掲げる営業を営もうとする者にあつては、その営業の方法として、取り扱う古物に関する事項を電気通信回線に接続して行う自動公衆送信(公衆によつて直接受信されることを目的として公衆からの求めに応じ自動的に送信を行うことをいい、放送又は有線放送に該当するものを除く。以下同じ。)により公衆の閲覧に供し、その取引の申込みを国家公安委員会規則で定める通信手段により受ける方法を用いるかどうかの別に応じ、当該古物に関する事項に係る自動公衆送信の送信元を識別するための文字、番号、記号その他の符号又はこれに該当しない旨
法人にあつては、その役員の氏名及び住所
2 公安委員会は、第三条の規定による許可をしたときは、許可証を交付しなければならない。
3 公安委員会は、第三条の規定による許可をしないときは、理由を付した書面をもつて、申請者にその旨を通知しなければならない。
4 許可証の交付を受けた者は、許可証を亡失し、又は許可証が滅失したときは、速やかにその旨を主たる営業所又は古物市場の所在地を管轄する公安委員会に届け出て、許可証の再交付を受けなければならない。
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古物商許可証の取得・申請の欠格要件とは?

古物商許可申請における欠格要件についてお伝えします。以下に該当する欠格要件がある場合、古物商許可申請はできません。
1:破産手続き開始の決定を受けて復権を得ない者
逆に言えば、復権を得ていれば古物商許可申請は可能です。ここでいう「復権を得る」とは、裁判所から支払い義務の免除を認めてもらうことをいい、「免責を受ける」ともいいます。基本的には「復権」と「免責」はセットです。
ちなみに、古物商許可証の申請書類の一つに「役所発行の身分証明書」がありますが、復権を得られている場合は身分証明書に「破産者であること」の記載はされません。しかし、復権を得られていない場合は身分証明書に「破産手続開始決定の通知に接した」の記載がされます。古物商許可証の申請をする際に復権が得られていないまま申請したとしても、役所発行の身分証明書の時点で復権が得られていない=欠格要件に該当することが発覚してしまいます。
2:犯罪者
懲役刑及び禁固刑の判決を受けた者
犯罪の刑罰の量刑は以下の通りに定められています。
懲役 > 禁錮 > 罰金 > 拘留 > 科料
上記のうち、懲役刑と禁固刑に該当する場合、古物商許可証の取得はできません。
罰金刑の判決を受けた者
通常、罰金刑であれば古物商許可証の取得はできるのですが、以下に該当する犯罪者は古物商許可証の取得はできません。
- 窃盗罪
- 背任罪
- 遺失物横領罪
- 盗品等有償譲受け罪
- 古物営業法違反
- 無許可営業
- 古物商許可の不正取得
- 古物商許可の名義貸し
- 営業停止命令違反(最も長くて6か月程度、最も短くて3日程度)
- 行商を行う際に行商従業者証または古物商許可証を携帯していなかった
- 品触れ相当品を届出しなかった
- 警察(公安委員会)の指示に従わない
- 他の法律に違反した
ただし、懲役刑、禁固刑及び上記の罰金刑を受けた者であっても、刑期を終えて5年経過していれば、また、執行猶予付き判決であれば執行猶予が満了すれば古物商許可証の取得はできます。(執行猶予期間中の古物商許可証の申請・取得は不可)
ちなみに過去に逮捕歴があっても、不起訴となり裁判にかけられず、前科(犯罪歴)がつかなかった場合は、古物商許可証の申請・取得は可能です。
3:暴力団員、元暴力団員、暴力的不法行為をする恐れのある者
具体的には以下に該当する者です。
- 暴力団員
- 暴力団をやめて5年経っていない者
- 暴力団以外の犯罪組織にいて、集団的または常習的に暴力的不法行為をする恐れのある者(過去10年間に暴力的不法行為を行ったことがある者)
- 『暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律』により、公安委員会から命令または指示を受けて3年経っていない者
古物商許可証を取得・申請するためには暴力団をやめて5年を経過しなければならず、かつ、実際に暴力団に加入していなくてもそれに近い暴力的不法行為を過去10年間のうちに行っていた場合は古物商許可証を取得・申請することはできません。
4:住居の定まらない者
古物商許可証を取得・申請する際に提出する申請書類の一つに「住民票の写し」があります。これがなければ古物商許可証を取得・申請することはできません。
5:古物商許可を取り消されて5年経過しない者
以下のような場合、古物商許可を取り消される可能性があります。
不正な方法で古物商許可を取得した、または古物商許可の取得時は欠格要件に該当しなかったが、取得後欠格要件に該当した
欠格要件に該当することを知りつつ古物商許可証を申請・取得した場合は取消処分に該当します。また、取得後に欠格要件に該当した場合も同様です。
6か月以上営業を休止していて、再開のめどが立っていない
6か月以上営業を休止している場合は古物商許可証を返納しなければならないのですが、再開の目途が立たない場合は取消処分に該当することになります。
古物商許可証の取得後、6か月以内に営業を開始しなかった
何らかの理由・やむを得ない理由があり、古物商許可証を取得してもすぐに営業を開始することができない場合がありますが、その場合の目安もやはり6か月です。
3か月以上所在不明になっている
以上のケースで古物商許可を取り消された場合、取り消されたときから5年を経過しなければ古物商許可証を取得・申請することはできません。
また、許可取り消しとなり、聴聞から処分確定までの間に自主返納した者に関しても、自主返納したときから5年を経過しなければ古物商許可証を取得・申請することはできません。
6:心身の故障により古物商または古物市場主の業務を適正に実施することができない者として国家公安委員会規則で定めるもの
過去、成年被後見人や被保佐人は古物商許可証を取得・申請することはできなかったのですが、古物営業法改正により申請者が古物商の取引で正しい判断ができるかどうかを個別に審査され、その結果として古物商の取引が正しくできると判断された場合は、成年被後見人や被保佐人であっても古物商許可証を取得・申請することができるようになりました。逆に、成年被後見人や被保佐人でなくても、古物商の取引が正しくできると判断されなかった場合は、古物商許可証を取得・申請するはできなくなります。この場合、上記の犯罪歴のような期間の猶予措置はありませんので、一度「古物商の取引が正しくできるのは無理でしょう」と判断されてしまうと、それを覆すのは事実上困難であるため、古物商許可証の取得・申請は断念せざるを得ないでしょう。
7:未成年者
原則として未成年者は古物商許可証の取得・申請はできません。ただし、例外的に以下のような場合であれば未成年者であっても古物商許可証の取得・申請ができるようになります。
婚姻している
民法上、未成年で結婚した場合は20歳未満であっても成年とみなされます。それ故、未成年者であっても結婚していれば古物商許可証を取得・申請することはできます。ただし、未成年者は営業所の管理者にはなれませんので未成年者一人では取得はできません。自分以外の者に管理者として選任しなければなりません。
古物商の相続人が営業を引き継ぐ(事業承継)
古物商許可証の取得者が亡くなった場合、まずその古物商許可証を相続人が返納する必要があります。そしてその相続人が未成年であったとしても古物商許可証の取得・申請をすることができ、古物営業を引き継ぐことができます。(ただし、欠格要件に該当しない法定代理人による未成年者登記をする必要があります。)
法定代理人から営業を許可されている
上記のような相続のケースでなくても、欠格要件に該当しない法定代理人から古物営業を許可されれば、未成年者であっても古物商許可証を取得・申請することができます。ただし、上記のケースと同様に未成年者登記をする必要があります。
会社を設立する
未成年者個人では原則として古物商許可証を取得・申請することはできませんが、未成年者が法人を設立して、法人として古物商許可証を取得・申請することはできます。その際、未成年登記は不要です。しかし、この場合でも未成年者一人では法人を設立することは困難であり、両親など成年者の協力が必要となるケースが多いです。
※2022年4月1日より、未成年者の年齢が18歳に引き下げられます。未成年登記の手続きの必要があることと、営業所の管理者にはなれないこともあり、現実的には成年になるまで待つ方が多いでしょう。
8:管理者の業務を適正に行えない者を管理者に選んでいる
営業所の管理者固有の欠格要件は以下の通りです。
営業所に常勤できない者
物理的に管理者が営業所に常勤できるかどうかがポイントとなります。目安は片道2時間です。常勤できない場合は欠格要件に該当し、管理者になることはできません。
複数の営業所の管理者になっている
他の営業所との掛け持ちをすることは認められません。1営業所につき1管理者です。
未成年者
上記の項目でも述べた通り、未成年者は古物商許可証の取得・申請ができる例外がありますが、管理者については未成年者が就任することは例外なくできません。
9:法人役員の中に1~7に該当する者がいる
法人として古物商許可証を取得・申請する場合、監査役など役員全員が審査の対象となり、一人でも欠格要件に該当する場合は古物商許可証を取得・申請することはできません。もし欠格要件に該当する役員がいる場合、一人ずつ対応策・解決策を取らなければなりません。
以上が古物商許可証を取得・申請する際における欠格要件です。一つでも該当する場合は古物商許可証を取得・申請するはできませんし、虚偽申請をしてもいずれ発覚してしまいます。正直に申請し、欠格要件に該当する場合はその都度対応・対策を練る必要があります。詳細は弊所までお問い合わせ下さい。
公安委員会は、前条の規定による許可を受けようとする者が次の各号のいずれかに該当する場合においては、許可をしてはならない。
・破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
・禁錮以上の刑に処せられ、又は第三十一条に規定する罪若しくは刑法(明治四十年法律第四十五号)第二百三十五条、第二百四十七条、第二百五十四条若しくは第二百五十六条第二項に規定する罪を犯して罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることのなくなつた日から起算して五年を経過しない者
・集団的に、又は常習的に暴力的不法行為その他の罪に当たる違法な行為で国家公安委員会規則で定めるものを行うおそれがあると認めるに足りる相当な理由がある者
・暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成三年法律第七十七号)第十二条若しくは第十二条の六の規定による命令又は同法第十二条の四第二項の規定による指示を受けた者であつて、当該命令又は指示を受けた日から起算して三年を経過しないもの
・住居の定まらない者
・第二十四条第一項の規定によりその古物営業の許可を取り消され、当該取消しの日から起算して五年を経過しない者(許可を取り消された者が法人である場合においては、当該取消しに係る聴聞の期日及び場所が公示された日前六十日以内に当該法人の役員であつた者で当該取消しの日から起算して五年を経過しないものを含む。)
・第二十四条第一項の規定による許可の取消しに係る聴聞の期日及び場所が公示された日から当該取消しをする日又は当該取消しをしないことを決定する日までの間に第八条第一項第一号の規定による許可証の返納をした者(その古物営業の廃止について相当な理由がある者を除く。)で、当該返納の日から起算して五年を経過しないもの
・心身の故障により古物商又は古物市場主の業務を適正に実施することができない者として国家公安委員会規則で定めるもの
・営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者。ただし、その者が古物商又は古物市場主の相続人であつて、その法定代理人が前各号及び第十一号のいずれにも該当しない場合を除くものとする。
・営業所(営業所のない者にあつては、住所又は居所をいう。以下同じ。)又は古物市場ごとに第十三条第一項の管理者を選任すると認められないことについて相当な理由がある者
・法人で、その役員のうちに第一号から第八号までのいずれかに該当する者があるもの
古物営業法 第四条(許可の基準)