実家の断捨離をしていたら、倉庫から大量のお酒が!これをネットで転売することはできますか?
まず、家にあったものをヤフオクやメルカリなどに転売する分には特に問題ありません。しかし、最初から転売目的で仕入れて、それを転売するとなると、それはビジネス目的であると警察に判断され、古物商許可証が必要になるわけです。
更に、お酒を販売する場合は酒類販売免許(酒販免許)も必要です。これがないままネットに出品・転売していたら逮捕されるかもしれませんよ。
お酒を転売・販売する際は酒販免許が必要
よくありがちなのが発泡酒の詰め合わせセットなどをインターネットで転売・販売する、というケースですがこれは全然ダメです。
なぜダメなのですか?
お酒は古物ではないので、買い取る分には何ら問題はありません。ただし、それを転売・販売するとなると必ず「酒販免許」が必要です。それがなければ転売・販売することはできません。
また、インターネットで販売する場合は酒販免許のうち「通信販売酒類小売業免許」が必要となりますが、この通信販売酒類小売業免許で販売できるお酒は西洋酒と品目ごとの年間課税移出数量がすべて3000kl未満である製造者が製造・販売する国産酒に限られます。つまり大手メーカーのビールや発泡酒などは取扱いはできず、地酒や地ビールなどの生産量の少ない国産酒に限られます。
ですので、「発泡酒の詰め合わせセットなどをインターネットで転売・販売する」というのは二重の意味でNGなのです。
実はみりんもお酒の仲間
みりんの詰め合わせが安いから、これを転売でもしようかな。
あ、ちょっと待ってください。実はみりんもお酒の仲間なので酒販免許がなければ転売・販売はできませんよ。
みりんもお酒なんですか?どう見ても調味料にしか見えないんですけど~~
確かにみりんは調味料に使われるのですが、飲用に用いられるアルコール飲料のひとつにも該当し、カテゴリとしては「混成酒」に分類されるんです。みりんをゴクゴク飲んでいる人はあまり見たことがないのですが、分類上は一応お酒ということになっています。下の表は酒類の販売数量等報告書なのですが、その区分の中にも「みりん」があります。
ですので、いくら安売りしているからといって、酒販免許がないのに安易に「本みりん」とか転売しちゃだめですよ。
は~い。
ちなみに「本みりん」はアルコールが14%ほど含まれているのですが、「みりん風調味料」であればアルコールは1%未満であるので酒税の対象とならないため、酒販免許がなくても転売OKです。
ネット販売の場合は販売できる酒類の種類に制限有り
酒販免許を取得していればお酒をネットで出品できますか?
お酒をメルカリやヤフオクなどネット販売する場合は「通信販売酒類小売業免許」が必要になります。この通信販売酒類小売業免許で許可されているお酒は西洋酒か、品目ごとの年間課税移出数量が、すべて3000kl未満である製造者が製造、販売するお酒に限られます。つまり、有名な国産メーカーのビールや発泡酒などはヤフオクに出品してはいけません。ネット販売していいお酒は大まかに言えば、外国産のブランデーやウィスキーに限られる、といったところです。
色々条件があるんですね~
やはりお酒そのものが法律で色々と制限されている商品ですからね。そこをわきまえた上で出品しなければなりませんね。アルコール中毒の問題や飲酒運転の問題、未成年者の飲酒問題など、お酒の飲み方を間違えると大変なことになる製品です。お酒を売る側にも免許制度を採用したり、3年に1度研修を受けなければいけないのは、そういった理由からです。
お酒を出品する際に、何かほかに注意点はありますか?
付属品があれば一緒に出品
箱や布袋、キャップなど付属品があれば一緒に買い取り、一緒に出品します。
空き瓶だけでも出品出来るものもある
バカラのボトルなど、空き瓶だけでも価値のあるものもあります。
参考:古物13区分一覧表
お酒は古物13区分のいずれにも該当しません。この場合、管轄の警察署によっては「道具類」として扱われる場合があります。業として本格的にお酒の取引を反復継続して行おうとする場合は、必ず古物商許可証を取得しましょう。
区分 | プレート表示 | 物品例 |
美術品類 | 美術品商 | 絵画、書、骨董品、登録日本刀など |
衣類 | 衣類商 | 婦人服、紳士服、子供服、着物など |
時計・宝飾品類 | 時計・宝飾品商 | 腕時計、貴金属類、宝石類、指輪・ネックレスなど |
自動車 | 自動車商 | 自動車、タイヤ、カーナビなどの部品 |
自動二輪車および原動機付自転車 | オートバイ商 | オートバイ、現付自転車及びその部品 |
自転車類 | 自転車商 | 自転車及びその部品 |
写真機類 | 写真機商 | カメラ、レンズ、ビデオカメラなど |
事務機器類 | 事務機器商 | パソコン、FAX、プリンタなど周辺機器など |
機械工具類 | 機械工具商 | 電動工具、工作機械、家庭用ゲーム機、家電など |
道具類 | 道具商 | スポーツ用品、楽器、CD/DVD、ゲームソフトなど |
皮革・ゴム製品類 | 皮革・ゴム製品商 | ブランドバッグ、靴など |
書籍 | 書籍商 | まんが、実用書、写真集など |
金券類 | チケット商 | 商品券、ビール券、株主優待券など |
古物営業法施行規則第2条より
ウィスキー
ウィスキーとは、大麦、ライ麦、トウモロコシなどの穀物を麦芽の酵素で糖化し、これを発酵させ蒸留した蒸留酒です。ウィスキーの中で代表的なものとして、「スコッチ」と「バーボン」があります。普段お酒を飲まない方も一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。
スコッチ
スコッチとは、スコットランドで製造されるウィスキーのことです。
バーボン
バーボンとは、アメリカのケンタッキー州で製造されるウィスキーのことをいいます。
ブランデー
ぶどうなど果実酒から作られた蒸留酒の総称です。ブランデーで代表的なものとして「コニャック」と「アルマニャック」があげられますが、いずれもフランスの生産地名です。また、ブランデーには「等級」があります。ブレンドに使用された最も若いオー・ド・ヴィーの熟成年によって等級が分かれます。
コニャック X.O.及びナポレオン
X.O.とは、ブレンドに使用された最も若いオー・ド・ヴィーの熟成年が6年以上のコニャックの等級です。「ナポレオン」も同様です。
コニャック V.S.O.P.
V.S.O.P.とは、ブレンドに使用された最も若いオー・ド・ヴィーの熟成年が4年以上のコニャックの等級です。
アルマニャック
ブランデーは熟成年により等級が分かれており、商品名にも明記されています。ただ、いずれにしても古酒であることには変わりありません。コルクの劣化などが起こり得る商品でもあるので、ブランデーに限らず古酒・西洋酒の取扱や出品の際には十分注意してください。
ブランデーメーカー5選
クルボアジェ
- 設立:1835年
- 創業者:フェリックス・クルボアジェ
- 本社:フランスシャラント県ジャルナック
ヘネシー
- 設立:1765年
- 創業者:リチャード・ヘネシー
- 本社:フランス コニャック
マーテル
- 設立:1715年
- 創業者:ジャン・マーテル
- 本社:フランス コニャック
レミーマルタン
- 設立:1724年
- 創業者:E. レミー・マルタン
- 本社:フランス コニャック
カミュ
- 設立:1863年
- 創業者:ジャン・バティスト・カミュ
- 本社:フランス コニャック
これらのブランデーメーカーは全てフランスに本社を置き、創業100年を軽く超えています。なじみのあるブランデーの殆どはフランス産であり、歴史あるメーカーにより製造されています。それを考えると、どのブランデーも味わい深いものがありますね。
ワイン
ワインとは、ブドウの果汁を発酵させたアルコール飲料のことをいいます。そのワインの中で、「シャンパン」は、フランスのシャンパーニュ地方特産のスパークリングワインのことをいいます。それ以外の産地のスパークリングワインはシャンパンを名乗ることができません。
アジアのお酒
貴州茅台酒(マオタイ)は1915年に金賞を受賞して以降、市場での価格が高騰した世界的評価の高いお酒です。ただし、偽造品が出回っているため注意が必要です。
西洋酒とは異なり、アジアのお酒は独特のボトルデザインであり、それは西洋とは歴史が違うため、西洋酒にはない味わいが楽しめそうです。やはりお酒というものは、お酒が生産された国の歴史が背景にあるため、それらの背景や歴史を知識として頭に入れた上で飲むとまた違った味わいに感じられるかもしれませんね。
変わったデザインのボトルのお酒
上記のお酒のボトルは、現実的には「観賞用」といったところではないでしょうか。お酒をたしなみながらボトルを鑑賞するのも面白いですね。
さて、これらのボトルは、場合によってはボトルの空き瓶だけでもヤフオクやメルカリなどで値が付く場合があります。
元々、お酒そのものは古物には該当しないのですが、ボトル単体は古物に該当するため、ビジネス目的で転売・出品等する場合や買い取る場合は古物商許可証が必要となります。また、確かにお酒そのものは古物には該当しないのですが、ヤフオクやメルカリなどインターネットに出品・販売する際は通信販売酒類小売業免許が必要となります。
つまり、お酒をリユース品として扱う場合は古物商許可証と酒販免許の両方を取得しておくのがベストであると言えます。酒販免許の取得に関しては姉妹サイト「酒販免許の広場」をご覧ください。