種の保存法を理解し、象牙やタイマイについて正しい取引をしましょう!

先日、古物商及び種の保存法に関する以下のようなニュースがありました。

絶滅の恐れがあるフンボルトペンギンの剥製(はくせい)を売買したなどとして、警視庁は11日、いずれも古物商で、埼玉県川口市の57歳と松山市の41歳の男2人を種の保存法違反(譲り渡し等の禁止など)の疑いで書類送検し、発表した。
 戸塚署によると、川口市の男は昨年9月、国際希少野生動植物種であるフンボルトペンギンの剥製1体を、ネットオークションサイトを通じて販売し、松山市の男は1万2千円で購入した疑いがある。
 調べに対し、川口市の男は「古物市で剥製を見つけ、3千円で買った」と供述。松山市の男は「6万円以上で転売できると思った」と話しているという。

朝日新聞デジタル 2020年5月11日 14時37分

種の保存法とは?

環境省HPより

種の保存法とは、国内外の絶滅のおそれのある野生生物の種を保存するため、平成5年4月に施行された法律です。正式名称は「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律」であり、つまり希少な野生動植物を保全するための法律です。絶滅寸前の動植物を乱獲などしたら大変なことになるため、法律で規制するのです。

具体的には、どんな動植物ですか?

代表的なものは「象牙」と「タイマイの甲」です。下記の通り登録及び届出をしなければ取り扱うことはできません。

環境大臣及び経済産業大臣に【届出】を行うことが必要な製品
(特定国際種事業)

うみがめ科の甲(背甲、肚甲、縁甲(ツメ)、端材、半加工品を示す。完成品は含まない)

手続き、様式の書類のダウンロード先はこちら

環境大臣及び経済産業大臣に【登録】を行うことが必要な製品
(特別国際種事業)

象牙製品等全形を保持していないカットピース(分割牙)及びその加工品)

手続き、様式の書類のダウンロード先はこちら

認定機関(一般財団法人自然環境研究センター)に登録が必要な製品

全形を保持した象牙(生牙、磨牙、彫牙)又はタイマイ等の甲

手続き、様式の書類のダウンロード先はこちら

「タイマイ」とは、うみがめ科の仲間の一種です。国内外において絶滅危惧種に認定され、保護活動が行われております。

国際希少野生動植物種一覧

象牙やうみがめは分かりましたが、今回の事案は「フンボルトペンギン」じゃないですか。どこを確認すればよかったのでしょうか。

環境省のHPの中に「国際希少野生動植物種一覧」というページがあります。そこにPDFがありまして、そのリストの中にフンボルトペンギンの記載があります。

象牙やウミガメは届出や登録をすれば取引を行うことができたのですが、それ以外の、上記のPDFに記載があるような動植物に関しては取引を行うと例外なく罰せられます。象牙やウミガメの届出や登録というのはあくまで例外的措置です。フンボルトペンギンは国際希少野生動植物種一覧のPDFにリストアップされているので例外なくアウト!ということです。今回の事案は種の保存法第十二条「譲渡し等の禁止」に該当する疑いがあったということです。

ちなみに「譲渡し等」とは(あげる、売る、貸す、もらう、買う、借りる)といった行為をいいます。譲渡も売買もダメなら貸借もダメです。テレビやイベントへの貸し出し行為も認められません。違反すると、個人の場合は5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金、法人の場合は1億円以下の罰金に処せられることがあります。

それにしてもこの「国際希少野生動植物種一覧のPDF」って結構いっぱいリストアップされていますが、どれぐらいあるんですか?

計790種類です。

ひやぁ~そんなにいっぱいあるんですね。。

内訳は二国間渡り鳥等保護条約通報種として217種、ワシントン条約附属書I掲載種として二国間渡り鳥等保護条約通報種及び国内希少野生動植物種との重複を除いた573種類、計790種類です。

また、これら国際希少野生動植物種は追加及び削除されることがあります。直近では2019年11月26日に施行された「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律施行令の一部を改正する政令」とういものがあります。

ワシントン条約

ただ、今回の取引は日本国内で行われたものじゃないですか。それなのに、国際希少野生動植物種の問題になるのですか?

はい、日本国内における取引についても、種の保存法に基づく国際希少野生動植物種として規制されます。絶滅危惧種は日本だけの問題ではなく、世界的な問題であるので、国際間取引はもちろん、国内での取引においても規制の対象となります。

ちなみに、国際間の商業目的の過度の取引による種の絶滅を防ぐために、絶滅のおそれがあり保護が必要と考えられる野生動植物の種について、附属書にリストアップしさらに絶滅のおそれの程度に応じて附属書の内容を三区分(附属書I~III)に分類し、それぞれの必要性に応じた国際取引の規制を「絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約」通称「ワシントン条約」といいます。

ワシントン条約による輸出入の規制

掲載基準規制内容対象種の例(※)
附属書
I
絶滅のおそれのある種で、取引による影響を受ける、あるいは受けるおそれのあるもの・商業目的のための取引禁止
・学術目的(繁殖目的を含む)の取引は可能
・輸出国、輸入国双方の許可書が必要
ジャイアントパンダ、アフリカゾウ、トラ、チンパンジー、クモノスガメ、アジアアロワナなど
附属書
II
現在は、必ずしも絶滅のおそれはないが、取引を規制しなければ絶滅の危機のおそれがあるもの・商業目的の取引は可能
・輸出国政府が発行する輸出許可書が必要
ホッキョクグマ、トモエガモ、カメレオン、ピラルクなど
附属書
III
締約国が自国内の保護のため、他の締約国の協力を必要とするもの・商業目的の取引は可能
・輸出国政府の発行する輸出許可書、または原産地証明書などが必要
ワニガメ(アメリカ)、セイウチ(カナダ)、ハナガメ(中国)、タイリクイタチ(インド)など
(※)2~3年に1度開催されるワシントン条約締約国会議において更新されます。

なんで「ワシントン」なんですか?

採択地がワシントンだからだそうです。

販売目的の陳列や広告もNG

また、種の保存法第十七条の「販売目的の陳列又は広告の禁止」についても注意が必要です。実際に譲り渡しをしていなくても、店頭に販売目的で陳列をしたり、ネットで販売の告知等をしてはいけません。違反すると個人の場合、1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金、法人の場合、2,000万円以下の罰金に処せられる可能性があります。

例えば店頭にディスプレイとして設置するのはどうですか?

販売目的で店頭に陳列しているわけではないのでOKであるはずです。間違っても販売はしてはなりません。「実は後ろに値札が貼ってある」とかダメです。ディスプレイとして陳列するのであれば、「これは見本です。販売商品ではありません」と明確な表示をする必要があります。

また、陳列・広告・譲渡し等の禁止の対象となるのは、個体(生死は問わない)・器官・加工品です。生体や卵だけでなく、はく製や標本も対象となります。今回の事案も「剥製」ということで規制対象となりました。

  • 個体とは、卵及び種子であって政令で定めるものを含む
  • 卵は、国内希少野生動植物種の鳥綱、爬虫綱、両生綱及び昆虫綱(一部除く)の卵と、国際希少野生動植物種の鳥綱の卵が対象
  • 器官 →例)毛、皮、つめ、羽毛など(政令で定めるものに限る。)
  • 個体の加工品 →例)剝製、標本(政令で定めるものに限る。)
  • 器官の加工品 →例)毛皮製品、羽毛製品など(政令で定めるものに限る。)

例外的に譲渡し等が認められる場合として、環境大臣の許可を受けたもの、大学や博物館等が所定の届出を提出したもの、等があります。

ヤフオクやメルカリで象牙は出品出来るのか?

以前、ヤフオクで多くの出品者が象牙の出品を行っていた記憶があるのですが、今はどうなのでしょうか?

プレスリリースにもある通り、2019年11月1日よりヤフオクにおいて象牙製品の取引が禁止されました。これにより、象牙製品は全形を保持していようがいまいが出品出来なくなりました。

また、象牙以外の製品に関しても、種の保存法及びワシントン条約等の規制の対象となるものは出品出来ません。

9.動植物およびその器官のうち、以下に該当するもの
(1)動物の生体のうち、以下に該当するもの
  a.ほにゅう類
  b.鳥類
  c.はちゅう類
(2)特定外来生物に該当する動物の生体および植物(卵や種子も含みます)
(3)象牙および象牙製品全般(全形牙、カットピース、端材、印材、製品の一部に象牙が用いられているものなどを含みます)
(4)希少野生動植物種の個体等のうち、種の保存法に基づいて必要とされている登録等がないもの
 ▼ご注意ください
 特定外来生物、希少野生動植物種のいずれも、学名に限らず、学名に相当する和名、通称その他の名称等規制の対象種であることを示唆するものを含みます。
 トラやヒョウの毛皮・はく製、アジアアロワナなどの国際希少野生動植物は、種の保存法に基づいて発行された国際希少野生動植物種登録票がなければ出品できません。なお、イヌワシなどの国内の希少な動植物は販売自体が禁止されています。

ヤフオク!ガイドライン細則より

ちなみにヤフオクだけでなくメルカリも象牙製品は出品禁止との事です。詳細はこちらのページをご覧ください。

ヤフオクやメルカリ以外のインターネット販売、フリマアプリ等においても全面的に象牙製品は出品・取引禁止ですよ~

法律を正しく理解し、適切な取引をしましょう。ご不明な点がありましたら出品に関しては各販売プラットフォーム、それ以外の法律全般や登録等に関しては以下のお問い合わせ先までお問い合わせください。

種の保存法全般に関して

環境省自然環境局野生生物課
東京都千代田区霞が関1-2-2
TEL:03-5521-8283

ワシントン条約に関して

経済産業省 貿易経済協力局 貿易管理部 貿易審査課 野生動植物貿易審査室
東京都千代田区霞が関1-3-1
TEL:03-3501-1723
FAX:03-3501-0997
電話対応時間:平日(行政機関の休日を除く)の9時30分~17時(12時~13時を除く)

国際希少種の登録・製品認定について

一般財団法人 自然環境研究センター
東京都墨田区江東橋3丁目3番7号
TEL:03-6659-6310(代表)
TEL:03-6659-6018(登録申請)
電話対応時間:平日10時〜17時(12時30分~13時30分を除く)
FAX: 03-6659-6320