クーリングオフの適用
買取をする際にクーリングオフが適用されるのは、どんな場合ですか?
出張買取や訪問買取の場合、 売主が売買の申込書や契約書を受け取った日から8日以内は、売主は商品の返却要求ができます。これは、いわゆる押し買い業者による強引な訪問買取による被害が多発した為、「あの金額は安い。やっぱりやめた!」という売主の要求に応える義務が買取業者にあるのです。ただし、それはあくまで出張買取や訪問買取など、売主の自宅において売買が成立した場合であり、店舗における売買の契約においてはクーリングオフは適用されません。
なんでですかね?
押し買い業者というのはアポなしでいきなり訪問します。もしくはアポは取るけれども最初は「着物だけ」と言っていたのに途中から貴金属に話をすり替えたりします。いずれにしても売主にとっては心の準備がないままに貴金属を売却することになってしまい、後から考えるとやっぱり安いからやめた!と言える方が売主にとっては当然いいわけです。ところが売主が店舗に直接持ち込む場合はあくまで自分の意思で、売却の意思をもって店舗へ足を運ぶので、この点においてはクーリングオフは適用されません。宅配買取に関しても同様です。
買取業者としては、出張買取で買い取った商品は8日間はそのまま保管した方がいいということですか?
はい、そうです。8日間の間に売主から返却要求をされたらそれに応える義務があるので、そのまま保管します。その8日間については、商品の所有権は未だ売主にあると解釈されるので、勝手に第三者に売却したりしてはいけません。ちなみに以下の商品はクーリングオフ適用除外品となります。
- 二輪以外の自動車
- 大型の家庭用電気機械器具
- 家具
- 書籍
- 有価証券(商品券など)
- レコード、CD、DVD、ゲームソフト類
これまたなんでですかね?
売主の利益を損なう恐れが無い、又は規制すると流通が阻害されるということで、適用除外品となりました。意外と知られていないことでもありますので是非覚えておいてください。
最後に、平成25年2月21日に施行された改正特定商取引法の主な内容について以下のようにまとめましたのでご確認ください。
- 不招請勧誘の禁止→アポなし飛び込み勧誘の全面禁止。また、当初は「査定のみ」という依頼に基づいて訪問した際の、査定以上の勧誘の禁止。
- 勧誘目的の明示→事業者名、目的、物品の種類の明示。
- 再勧誘の禁止→一度取引を断った顧客への再勧誘の禁止。
- 書面交付義務→物品の種類、特徴、数量、価格やクーリングオフに関する説明事項が記載された書面の交付。
- 引き渡しの拒絶→クーリングオフ期間中(書面交付から8日以内)の引き渡しの拒絶
- クーリングオフ→書面交付から8日以内であれば、顧客は無条件で契約の申し込みの撤回及び契約の解除が可能
古物商は、古物を買い受け、若しくは交換し、又は売却若しくは交換の委託を受けようとするときは、相手方の真偽を確認するため、次の各号のいずれかに掲げる措置をとらなければならない。
古物営業法 第十五条(確認等及び申告)
相手方の住所、氏名、職業及び年齢を確認すること。
相手方からその住所、氏名、職業及び年齢が記載された文書(その者の署名のあるものに限る。)の交付を受けること。
相手方からその住所、氏名、職業及び年齢の電磁的方法(電子的方法、磁気的方法その他の人の知覚によつて認識することができない方法をいう。以下同じ。)による記録であつて、これらの情報についてその者による電子署名(電子署名及び認証業務に関する法律(平成十二年法律第百二号)第二条第一項に規定する電子署名をいい、当該電子署名について同法第四条第一項又は第十五条第一項の認定を受けた者により同法第二条第二項に規定する証明がされるものに限る。)が行われているものの提供を受けること。
前三号に掲げるもののほか、これらに準ずる措置として国家公安委員会規則で定めるもの
2 前項の規定にかかわらず、次に掲げる場合には、同項に規定する措置をとることを要しない。
対価の総額が国家公安委員会規則で定める金額未満である取引をする場合(特に前項に規定する措置をとる必要があるものとして国家公安委員会規則で定める古物に係る取引をする場合を除く。)
自己が売却した物品を当該売却の相手方から買い受ける場合
3 古物商は、古物を買い受け、若しくは交換し、又は売却若しくは交換の委託を受けようとする場合において、当該古物について不正品の疑いがあると認めるときは、直ちに、警察官にその旨を申告しなければならない。
行商従業者証について
出張買取など店舗や営業所を離れて買取依頼人の住所・居所等で買取を行うことを「行商」といい、古物営業の許可申請を行う際にあらかじめ「行商をする」と届け出る必要があります。出張買取を行う際は古物商許可証または行商従業者証を携帯する必要があります。
様式に関しては古物営業法施行規則第10条、別記様式第12号において以下のように定められています。
- 縦5.5cm横8.5cm
- 表面に行商をする当該従業員の写真(縦2.5cm以上横2cm以上のもの)を貼り付け/氏名と生年月日を記載
- 裏面に古物商の氏名または名称・古物商の住所または居所・許可証番号・主として取り扱う古物の区分を記載
- 材質はプラスチック又は同程度の耐久性を有するもの
厚紙に印字したものをラミネートしたものでも可です。自作される方も多くいらっしゃいます。
行商従業者証って、どんなときに必要なのですか?
行商を行うときに相手方に提示します。具体的なシチュエーションとしては、主たる営業所での買取ではなく、顧客の住居へ出張買取に行く際に提示する、といったところでしょうか。古物商プレートとは異なり、行商従業者証は許可証を取得した人すべてが所持しなければならないわけではありません。インターネット上で仕入れを全て行う、またはリサイクルショップなどで仕入れを行うといった場合は、行商従業者証は必要ありません。
古物商は、行商をし、又は競り売りをするときは、許可証を携帯していなければならない。
古物営業法 第十一条(許可証等の携帯等)
2 古物商は、その代理人、使用人その他の従業者(以下「代理人等」という。)に行商をさせるときは、当該代理人等に、国家公安委員会規則で定める様式の行商従業者証を携帯させなければならない。
古物営業法 第十一条(許可証等の携帯等)
3 古物商又はその代理人等は、行商をする場合において、取引の相手方から許可証又は前項の行商従業者証の提示を求められたときは、これを提示しなければならない。
古物営業法 第十一条(許可証等の携帯等)