買取を行う際、本人確認は必ず行いましょう。ここでは、本人確認方法についてお伝えします。
有効な本人確認書類
買取時に行う本人確認の身分証明書は、具体的にどんなものがありますか?
- 運転免許証
- 健康保険証→記号・番号を控えることはできません。
- マイナンバーカード→マイナンバーを控えることはできません。
- パスポート
最も多いのが運転免許証です。次いで健康保険証、まれにパスポートといったところでしょうか。外国人の方から買取を行う場合はパスポートが多いですし、在留カードというものもあります。
少し前に、「住基カード」というのがあったような気がしますが、あれは…
マイナンバーカードに取って代わりました。ただ、マイナンバーカードは本人確認の身分証明書として使用するときは顔写真のある表面のみコピーするようにしてください。
なぜですか?
マイナンバーは社会保障、税、災害対策の3分野について、分野横断的な共通の番号を導入することで、個人の特定を確実かつ迅速に行うことを目的としています。つまり、その人にとっては非常に秘匿性の高い情報となります。このマイナンバーカードを本人確認書類としてリユース事業者が使用すると、情報漏洩の危険性があるため、情報セキュリティの面において本人確認書類としては厳重に取り扱わなければなりません。具体的には、顔写真がある表面のみコピーを取り、マイナンバーが記載されている裏面は絶対にコピーを取ってはなりません。
なお健康保険証につきましては2020年10月1日より改正保険法が施行され、健康保険証記載の保険者番号、保険証上部に記載されている記号・番号が「個人情報」扱いとなります。
ほ~そうなると、マイナンバーカードみたいに健康保険証もこれからは本人確認の書類として使えなくなるということですか??
いえ、そういうわけではないです。確かに今までは健康保険証の記号と番号を書き写していたと思いますが、明日からはそれができなくなります。ただし、下記のように記号・番号など個人情報に該当する箇所を塗りつぶして対応することは可能であるとされています。
ポイントは、保険者番号、記号・番号が復元できない状態になってさえいれば、その他保険証記載内容のコピーを取ることは違法ではないという点です。ですので、例えばコピーをする前に記号・番号など個人情報該当箇所に付箋を貼った状態でコピーをする、といった対応方法もあり、ということです。出張買取や宅配買取についても同様です。特に宅配買取についてはあらかじめ記号・番号など個人情報に該当する箇所を塗りつぶしていただいた状態で送付して頂くのが最も望ましいと言えるでしょう。また、QRコードも一応マスキングしておいてください。
とにかく2020年10月1日より、健康保険証の記号と番号は個人情報扱いとなり、それを書き写す行為はできませんので、買取の際の本人確認に関しては十分お気を付けください。ちなみに運転免許証については特に変更はありません。
本人確認書類受領後
本人確認書類の番号を控えてください。その際、例えば本人確認書類の有効期限が切れていたり、顔写真と本人の実物の顔が著しく違っていたりしていないか確認して下さい。
「個人情報を知られたくない!」といって本人確認書類の提示を拒否する人もいるのですが、どうしたらいいですか?
なぜ本人確認書類を提示する必要があるのか、何のためにそうするのかを説明してあげてください。やはり古物営業法という法律に則ってビジネスをする以上、本人確認は古物商の義務であるので、そこは妥協するわけにはいきません。
それでも頑なに本人確認書類の提示を拒む人はどうしたらいいですか?
取引を断念せざるを得ないでしょう。「今回だけは…」みたいな感じで本人確認を怠ってはいけません。これに関しては一切の例外なく、毅然とした態度で臨み、それでも客が応じないのであれば取引を断念・中止しなければなりません。
多くの人はこちら側が丁寧に説明することにより、本人確認書類の提示に応じてくれます。逆に、応じてくれない人は何らかの瑕疵というか、実は持ち込んだ商品が盗品だったり、偽物だったりすることが多々あります。本人確認を正しく行うことは、そういった不正品・不真正品の買取や取引を未然に防ぐ効果もあるのです。
買取り申込書に記入してもらう
依頼人の氏名や住所、職業、電話番号、生年月日を書いてもらいます。この情報に関しては依頼人でしか知り得ない固有の情報なので、成約後に必ず記入してもらう必要があります。
このタイミングでも、やはり個人情報を気にして記入を渋る人がいるんですよね~
確かに個人情報を気にする人は多いですが、あくまで古物取引の為だけに使用するのであり、それ以外の用途には一切使用しない旨を説明するべきでしょう。おそらく恐れているのは、取引をしたことにより、後日営業電話がかかってきたりしないかどうか、という点だと思います。まっとうな古物商であればそのようなことはしないので、そこは丁寧に説明する必要がありますね。それを書いてもらえなければ、やはり取引は不成立ということになります。
注意点として、見た目が若く「この人はもしかして未成年か?」と思ったら必ず生年月日を確認しましょう。もし未成年であった場合、保護者からの同意書があった方がいいかと思います。
なぜですか?
民法上、未成年者は法定代理人(多くは親)の同意を得ないで行った取引を取り消すことができるとされており、後になってトラブルにつながることが多いのです。考えられるのは、「親のネックレスを子が勝手に売った」といったパターンです。これは子と親と古物商の三者間トラブルになる可能性があります。ですので、未成年者からは買い取らない、あるいは親の同意書を必須条件として買い取る必要があります。
また、「年齢を知られたくないのよね~」といって生年月日の記入欄だけ空白で提出する依頼人もたまにいるのですが、ちゃんと事情を説明して記入してもらうようにしましょう。
本人確認が必ず必要な商材
買取にあたって本人確認が必要とされているのは、1万円以上の取引の場合です。つまり1万円未満の場合には原則として本人確認は不要です。ですが、以下の商材は取引金額が少なくても盗品のおそれが高いとして1万円未満でも本人確認が必要となります。
- ゲームソフト
- 自動二輪(部品含む)
- 原動付き自動車(部品含む)
- 本
- CD、DVD
では、上記の商品以外で、かつ買取額1万円未満であれば身元確認と帳簿への記録は必要ないかというと、そうでもありません。実際のところ、全ての商品の取引において身元確認と帳簿への記録を行っている店舗が多い印象です。
注意すべき買取依頼人
過去、様々な取引を行ってきた中で、「これは怪しい!」と思えるようなケースは多々ありました。その中から特に注意すべき買取依頼人についてご紹介します。
住所が遠隔地
弊社は神奈川県横浜市にあります。基本的に買取依頼人はその近辺の住所の人が多いです。これは当然だと思います。それ故、本人確認の際、住所が「北海道」や「沖縄県」だった場合まず「なぜ当店に?」という疑問がわきます。店舗や営業所の住所から著しく離れた場所からの来店であった場合、その理由を必ずヒアリングしてください。
商品が年齢・性別不相当
立て爪のリングや喜平のネックレスを若い男性が持ち込んできたらどうですか?明らかに所有者ではないでしょう。仮に所有者であったとしても使用者ではないでしょう。女性もののハンドバッグを男性が持ってきたら「なぜそれを?」と思うのが自然でしょう。その点もしっかりヒアリングしましょう。
競合他社による冷やかし
スーツを着た男性であることが多いです。そして売却目的はなく、競合他店の視察が主目的であるため、「査定のみ」で終わることが多いです。「こいつはスパイだ!」と見破るのは難しいですが、接客上の雰囲気や会話のテンポなど、一般顧客ではない空気感を感じたら要注意です。
持ち込む商品がいつも同じ新品
いつも同じような新品のwifiルータや電子タバコを持ち込む依頼人がいたのですが、結局それは盗品であったことが後日発覚しました。少し考えればやはり不自然です。基本的に中古品を取り扱うリユース・リサイクルショップに新品を持ち込むのは、つい「使わないんですか?」と聞いてみたくなります。いや、むしろ聞くべきです。
他にも事例は多々あります。いずれにしても、少しでも疑問に思ったらまず本人にヒアリングをして、本人の様子をじっくり覚えておくといいでしょう。店舗の被害を最小限に食い止めるためにも、「怪しいな」と直感で感じるところがあれば、警察に通報しましょう。また、「慎重に査定を行うため、一旦預からせてください」と買取依頼人に聞いてみてください。盗品である場合は大体預かりを嫌がります。少しでも迷ったらとりあえず預かる、という方向でいいのではないでしょうか。
宅配買取/非対面取引による買取について
宅配買取について、買取依頼人の身元確認の方法はいくつかありますので、以下に列挙します。
- 電子署名付き電子メール
- 印鑑登録証明書及び登録印鑑を押印した書面
- 住民票の写し
- 本人限定受取郵便(現金書留)
以下の本人確認書類においては、簡易書留かつ転送不要郵便の設定をしなければなりません。
- 運転免許証/健康保険証/パスポート等のコピー
- 運転免許証/健康保険証/パスポート等の画像
- 写真付きの本人確認書類+売主の容貌の画像(リアルタイムでのビデオ通話による確認を含む)
対面による買取において使われる運転免許証や健康保険証は、それだけでは宅配買取の取引においては不十分であり、転送不要の簡易書留を送付した上で本人名義の銀行振り込みをしなければなりません。