0:出張買取の依頼を受ける
出張買取はあくまで顧客からの依頼があって初めて成立する買取行為です。そのスタートは1本の受電から始まります。その際には顧客の名前、住所、連絡先、買取依頼品とその量をヒアリングします。その上で日程調整をします。
1:目的地を地図で確認
当たり前すぎる話ではありますが、目的地を地図で確認します。電話での問い合わせがあった場合、聞き間違いがあるといけないので住所は復唱しましょう。googleマップで確認し、車で行く際は駐車場又は駐車スペースがあるかどうかを確認します。また、仮に駐車違反の切符を切られた場合、その違反金を顧客に請求することは絶対にやってはならないことですのでやめましょう(以前、エアコンクリーニング業者よりこの手の請求をされたことが個人的にあります)。また、googleマップよりも住宅地図の方がより正確であるため、住宅地図も使うことを検討してください。
2:挨拶→名刺を渡す
まずはインターホン越しでご挨拶。すでにアポを取っているので怪しまれることもありません。ごくまれに顧客が出張買取をすっぽかすことがあるため、出発前に念のため一報を入れておくとともに、インターホンに出なかった場合の対応として顧客の電話番号を控えておいてください。
玄関に入ったらまず名刺を渡し、出張買取の主導権を握るようにしてください。
3:査定は最速を心掛ける
どれぐらいの物量があるかという点についてはあらかじめ電話でヒアリングしてあるのでおおよその目途は付くかと思います。しかし、出張買取当日になって当初ヒアリングで把握していた分量よりも多くなった、ということはよくあります。その際は目の前のものから査定するのではなく、全体量をまずはつかむようにしてください。そして、査定はとにかくスピーディーに行うようにしてください。
また、分量によっては玄関先で完結する場合もあれば、リビングで査定しなければならない場合もあり、ケースバイケースです。心理的に業者をリビングにあげたくないと思う顧客も当然いますので、その場合は玄関先で査定することとなります。
4:スマホを使う時間を極力短くする
スピーディーに査定を行うことに連動しますが、顧客の前でスマホを使う時間を極力短くする努力をしましょう。あまりにスマホを使いすぎると、顧客から見ると「単にわからないからgoogleで調べているのではないか?」と思われる可能性があり、そのうち顧客自身でも調べ始めます。すると、「これは楽天で○○円で売っている!」「メルカリで○○円で販売されている」と言い出す可能性があります。そうなると買取のハードルが上がることにもなります。スマホを使うならあまり顧客に見えないように、そして顧客の目の前で使う際は顧客に画面を見られないように配慮する必要があります。
5:途中経過を伝えない
「この商品は○○円です」「これは××円です」といちいち伝えると、顧客に考える時間を与えることになりますので、まずは査定額をメモしておき、全ての商品の査定が終わり、最終的な金額を提示することができる段階で、個別に金額を提示します。つまり、金額を提示するタイミングの問題です。
6:金券類や貴金属は丁寧且つ慎重に
金券は1枚当たりいくら、という金額の提示方法であるため、それが1枚多かったり少なかったりしてはなりません。必ずピッタリな数字にしなければならないのです。慎重に数えるようにしてください。
また、貴金属の査定に関してもスケールを中心に置き、重量が顧客に見えるようにします。ただし、査定金額についてはクーリング・オフの期間があるため、高利率で買取をすることが難しいと言えます。例えばクーリング・オフ期間中に金相場が暴落した場合、業者側が損をする可能性があります。貴金属は買い取ってもすぐに卸せないことを念頭に置いた上で査定をしなければなりません。
7:顧客との会話
大量の商材の買取を依頼した場合、「お引越しですか?」など、軽く話を振ってみます。つまり、なぜ出張買取を依頼したのかを読み解きます。会話をしながらスピーディーに査定をするのはやや難易度の高い話ではありますが、やはりせっかくの機会なので、出張買取を依頼する経緯など、その顧客にしか知り得ない情報を得るようにしましょう。
8:金額提示→取引成立→身分確認→お客様控えを渡す
査定が終わりましたら金額を提示します。顧客が提示金額に納得した場合は取引成立となります。
取引が成立したら、まずは身分確認として身分証明書の提示をしてもらいます。それと共に売買契約書に必要事項を記入してもらいます。なお、売買契約書については通常使用している売買契約書ではなく、クーリング・オフに関する記載がある出張買取専用の売買契約書を用意する必要があります。クーリング・オフに関する記載のない売買契約書を代用する事は出来ません。また、顧客に対してクーリング・オフに関する説明もしなければなりません。
売買契約書のすべての項目に記入してもらったら、売買契約書のお客様控えを必ず渡しましょう。これを渡しそびれると取引がなかったことと同様の扱いとなり、いつでもクーリング・オフによる返金が可能な状態となってしまいますので、必ず渡す必要があります。 売買契約書に関しては複写式のものを使用出来ればベストですが、カーボン紙を使用することもできます。その場合、売買契約書を2枚用意し、上の1枚は業者控え、下の1枚はお客様控えとなりますが、例えばカーボン紙が劣化しているとカーボン紙の下に敷くお客様控えが著しく汚れる場合があります。査定中のメモ書きはメモ書きとして区別し、売買契約書に書くのは最後の清書の場合のみ、というようにお客様控えが汚れないようにしましょう。カーボン紙の状態をあらかじめ確認することも大事です。
9:現金を渡す
なるべくピン札で渡しましょう。ピン札で渡されると気持ちがいいものです。また、現金を入れるための現金封筒も必要です。銀行名が書かれた現金封筒ではなく、自前の現金封筒、せめて茶封筒に入れるようにしましょう。また、金券と同様にお札も顧客に見えるように数えた上で渡しましょう。
10:クロージングこそ大事!
成約が終わり、忘れ物がない様に必ず確認します。また、営業用としてのチラシを渡すようにしましょう。他のお客様に対する紹介状等を渡すのもいいと思います。そして帰り際には時間が掛かってしまったことを詫びつつ依頼してくれたことに対する感謝の気持ちを込めてご挨拶をして締めくくります。このクロージングでいい印象を与えることができれば、また次回につながる可能性があります。
出張買取においては顧客との信頼関係・人間関係が大きく左右される部分があります。査定額を提示しても顧客が承諾しなかった場合、決して強引に買取を迫るようなことはしてはなりません。心証が悪くなると、単なる悪質な買取業者にしか見られなくなってしまいます。出張買取は、単に商品を買い取ることよりも顧客との信頼関係をしっかりと築くことにより注力すべきでしょう。そこができていないと、出張買取が終わった後も「○○がなくなっているけど、あなた盗ったでしょう!」とあらぬ疑いを掛けられる可能性すらあります。逆にしっかりと信頼関係を築くことが出来れば、他のお客様を紹介してくれるかもしれません。顧客から選ばれる古物商は、紹介によるお客様の比率が高い傾向にあります。ぜひ紹介によるお客様獲得を目指して、目の前のお客様との信頼関係構築に注力しましょう。